平成16年9月1日初版 目次 特徴


A5判

「はじめに」を読む
1.年金改正の方向と実務的な影響
  2004年度年金改正法案の概要とポイント
  政府改正案と民主党案の違い
  今後の年金改正の展望と進むべき方向
2.現行制度と年金改正法の比較1
  ■給付と負担
  基礎年金の国庫負担割合引き上げ
  財政検証の実施
  保険料水準固定方式の導入
  マクロ経済スライドの導入
  物価スライド特例措置の解消
3.現行制度と年金改正法の比較2
  ■多様な生き方、働き方に対応した制度の導入
  在職老齢年金の見直し
  育児期間支援措置の拡充
  離婚時の厚生年金分割制度の導入
  遺族年金制度の見直し
  障害年金の改善
4.現行制度と年金改正法の比較3
  ■国民年金問題と年金制度理解への取り組み
  国民年金保険料の多段階免除制度
  30歳未満の若い層に対する国民年金保険料納付の
  猶予制度
  第3号被保険者の特例届出
  ポイント制による個人への年金情報の提供
5.現行制度と年金改正法の比較4
  ■企業年金関係
  厚生年金基金の安定化
  確定拠出年金の改善
  企業年金のポータビリティ向上
6.年金改正法で残された課題
  パートへの厚生年金適用拡大
  第3号被保険者の保険料徴収
  複雑な年金制度の簡素化と国民の理解への努力
7.2004年度最新年金実務と改正法の適用
  2004年度年金額の改定と厚生年金保険料の変更
  その他の主な2004年度改訂事項
  年金課税の見直し
ここが改正理解のポイント!


基礎年金の国庫負担割合の引き上げ

保険料水準固定方式の導入

マクロ経済スライドの導入

在職老齢年金の見直し

離婚時の厚生年金分割制度の導入

遺族年金制度の見直し

国民年金保険料の多段階免除制度

年金改正で残された課題(パートへの厚生年金適用拡大、第3号被保険者の保険料徴収 等)
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更新 2003.1215
公的年金制度は5年に一度、大きな見直しが行われる。2004年は、その見直しの年にあたるが、今回ほど国民の関心を集めた改正はかつてなかった。そして、6月5日に与党の強行採決によって成立した年金改正法は、期待とはほど遠い内容となった。

ただでさえ複雑でわかりにくい年金制度が、今回の改正で一段とわかりにくくなった。総責任者の小泉総理でさえ自分で説明できないマクロ経済スライドは、高度な専門知識を持つ経済学者にしか理解できないような内容である。

政府は給付と負担の問題を解決し、百年安心の仕組みとして国民の年金不信を解消できると胸を張った。しかし、仕組みを複雑にして甘い将来像を示し、国民を煙に巻くという手法は従来と変わらない。実際には、改正法成立と前後して次々にボロが露呈し、政府自身が欠陥を認めざるを得ないという事態に追い込まれた。こうした年金問題への不誠実な取組みに、国民は直後の参議院議員選挙ではっきりとノーの意思表示をした。

現在の日本にとって、若者から老人まで年金問題は他人事ではない。少子高齢化の流れが止まらない中、細る財源を確保し、増大する給付にいかに対処するか、皆で知恵を出し合わなければならない。
広く国民からアイデアを募り、集まったアイデアを工夫していかに政策として実現するかが、年金に携わる当事者の腕の見せ所である。

2002年度末には年金受給者が3,076万人となり、毎年100万人を超えるペースで増加している。こうした受給者に対して、年金相談業務が十分に整っていないのも問題だ。最近では、社会保険事務所に行っても、何時問も待たされた挙句、納得のいく説明が受けられないという風景が常態化している。

2007年度からは、いわゆる団塊の世代が年金受給世代に入ってくる。また、若者にとっても年金問題は遠い将来のことではない。20歳代の若者でも、自分の親は年金受給世代になる。特に、これからの親は、バブル後の不況やリストラの直撃を受けた世代が当分続き、老後資金を十分に準備できていないケースも多い。年金がなければ自分たち自身で親を支えなければならない。しかし、皆が負担し合って所得を再分配する年金制度の仕組みがなければ、低所得者層は親を支えることができなくなる。

年金制度を批判する人でも、年金制度が要らないという人はいない。だとすれば、いかにベストな仕組みにするかを考えるしかない。そのためには、人間でいえば生活習慣病にどっぷり漬かって分厚くついたぜい肉をそぎ落とし、誰もがわかりやすいシンプルな制度に改めることが急務である。

 しかし、ぜい肉のついた年金制度でも、実務の現場では否応なしに対応を迫られる。本書では、実務担当者向けに改正法をできるだけわかりやすく解説することを試みた。難解さを増した制度を正確に理解して、国民が不利益になることのないように対応していただくとともに、制度の不備を実務現場から検証し、今後の制度改正の方向を正しくつかむお役に立てれば幸いである。

私も、政治家の目と実務家の目で、今後のあるべき年金制度の実現に努力を重ねていきたいと心新たに決意している。

2004年8月
                                           衆議院議員・社会保険労務士
                                                     内山 晃

はじめに

本書掲載文、はじめにより